「えっ、見ませんでしたよ」
「窓の下にたくさんいたよ」
「セドナまで、どれ位あるんですか」
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「いまのところ良いんじゃない」珍しく美奈子がレストランを指定してきた。
「どこでしたっけ、あのレストラン思い出しちゃいました」

「車、ここまでお願い」と、修平の背中に声を掛けた。
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「どうしよう」
「加奈ちゃんさえよければ、僕たちの部屋はどう」修平の言葉で、困惑した加奈の表情が明るんだ。 「何があるんですか」加奈の問いにも答えない。
「早く戻って」ホテルの中庭に戻ると修平は
「写真だけ撮ってくる」と言って、元に戻った。2~3分程して戻ってきた修平は、息を切らしていた。 「やだ、気持ち悪い」美奈子と加奈は後退りした。
「気持ち悪いから、そんな写真消してよ」美奈子の口調が強かったせいで、もうワン・ショットの写真は見せることができなかった。
「あれ、ダブルベッドだ」修平の声に、すかさず美奈子が反応する。 「気にすることないよ。何か、合宿みたいで楽しそうだよ」
「もう6時半になるから、ご飯にしない」美奈子が提案した。
「ちょっと早いけど、そうしよう。休んでると、外に出るのも面倒くさくなるから」 「いや外ってのは、部屋の外って意味だよ」
「そんなに子供っぽく見えるんですかね」
「外は寒い。スヌーピーは、木が邪魔して分からなかったわ」「美味しいもの食べてると、それだけで幸せね」
「明日の予定だけど、1日フリーにしない」デザートを食べ終わる頃を見計らって、修平が提案した。 「私は、ぷらぷらとショッピングしてきます。おじさんは、何するんですか」

「今何時」
「もう1時過ぎよ。お昼どうするの」
「朝結構食べたからな、でも軽く食べとかないと夜まで持たないかもね」
「私はいらないわ」
「レストランで何か頼んでくるわ。何か飲む?」
「これからのスケジュールは」と聞いてくる。
「ここに居るつもりだけど」
「ほんとに、一日中居るの」
「ああ」
「お土産とか買いに行きましょうよ。あと、ラスベガスしかないのよ」 「私の友達や近所のお土産もあるから、これ食べたらちょっと付き合って」
美奈子の強引な誘いに、返事をせずに頷いて答えた。
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「お土産、チョコレートでいいんじゃない」
「どこかにあるの」 「どれ?」修平はその方向を見たが分からなかった。

「私も買ってきちゃいました、お土産」
「何買ったの」
「ターコイズのネックレス、奮発しちゃった」
「きっと美奈子も、おんなじようなもの買ってると思うよ」
「えっ、本当ですか」
「ああ。加奈ちゃん座ったら」修平はテーブルの反対側にあるビーチチェアをすすめた。加奈はタオルを取りチェアに敷いている。 「おじさん、ターコイズって、どんな意味があるか知ってますか」 「あんまり興味なさそうですね」
「いや、そんなことないよ」
「本当かな」それでも加奈は続けた。 「加奈ちゃん、あの岩山見てごらん」修平と加奈の視線の先には、夕陽に輝きだしたレッド・ロックがある。赤い山は夕陽を受けて、黄金色に輝きはじめていた。
「そんなことないですよ、空とか宇宙がなかったら、もともと生命なんて生れてないですもん。宇宙でビッグバンがなかったら、母なる大地も生れてないんですよ」
「おじさんと美奈子さんも、そんなですか」
「男の人って、そんなこと考えてるんですね」 「おじさん、実は私、結婚申し込まれてるんです」 「お祝いじゃなくて、式に出てもらいますからね。だってもう、おじさんと美奈子さんは、両親みたいなもんですから」加奈はいたずらそうに笑った。 「そろそろご飯にしましょうよ。今日は何ですか?」修平はその問いを待っていたかのように答えた。 「あら加奈ちゃん、話したの」 「そんなことないですよ、タイミングで、何となくそうなっただけですから。何か男の人には、いまいち話しづらくって。おじさん、ごめんなさい」
「うそうそ、気にしちゃいないよ。さっ、食事に行こう」
「ちょっと早いけど、加奈ちゃん婚約おめでとう」修平が音頭を取る。 「それも聞いてますよ、ねえ加奈ちゃん」顔を上げた加奈の瞳には、涙があった。 「何かしこまってるの、祝いの席に涙は禁物よ」美奈子の言葉に加奈は頷いたが、返事はなかった。
「さっ、お祝いだから日本酒でも飲もうか」
「それはあなたが飲みたいんでしょ」ここでやっと場が解れた。
「今日もいい天気になりそうね」
「ほんとですね」美奈子の独り言のような問いに、加奈は殊勝に答える。修平はあれから眠れずにいたが、寝たふりをしていた。
「加奈ちゃんとも、今日を入れてあと3日ね」
「はい」 「ええ、そう思いました。すっかり口数が減っちゃうんだもん」
「そういう人なのよ。優しいっていうか、子供っていうか」
「でも男の人って、そういうところが魅力なんですよね。すごく大人に見えたり、子供っぽく見えたり」
「あら、加奈ちゃんの彼もそんな人なの?」
「ええ、まあ」 1時間ほどたっただろうか、シャワーを浴び化粧を終えた美奈子が修平を起こす。 「おはようございます。早く起きないと美奈子さんに叱られちゃいますよ、おじさん」
「今日のスケジュールは」
「これからここで、朝ご飯。その時話すよ」
「ヴォルテックスって何よ」修平の口調に気付かないのか、お構いなしなのか、美奈子はいつもの通り聞いてきた。
「だから、そのヴォルテックスって何なのよ」美奈子が少しイライラしはじめた。
「ふ~ん」美奈子はどうでもいいような、気のない返事をした。気持ちのほとんどはヴォルテックスではなく、目の前にある朝食に向いているようだ。案の定美奈子の 「そのヴォルテックスに行くんですね」と聞いてくる。
「うん、まずベルロックって所に」
「私、何だか楽しみになってきました」加奈は笑顔で続けた。
「私もそう思います」加奈も同意する。その横で美奈子は聞いているのか、いないのか、黙って食事を進めていた。
「そうね」と、加奈の
「そうですね」がシンクロした。
「明日はこの川の向こう側から、もう一度見てみようと思うんだ。さっ、1時になるからお昼にしよう」加奈の元気な
「賛成」の声で、3人は同時に立ち上がった。
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「日本から来たの」と話しかけてきた。加奈が
「そうですけど、どうして」と聞くと
「この店、日本の有名な雑誌で紹介されたのよ」と答える。
「それで来たんでしょ」
「いや偶然よ」
「この後少し早いけど、チェックインしよう。昨日のんびりしたら休み癖がついちゃったみたいだ、部屋で休もうよ」
「私は洗濯するわ」
「私もです」美奈子に加奈が続いて、笑顔で答えた。 「加奈ちゃん、車の中で待っててくれる」
「どうして私、車の中なんですか」 「あっ、そうだったんですか。ということは、私はタダってことですか」 「150ドル位かな、安いよね」 「プールもいくつもあるし、室内プールもありますよ。ランドリーは、ここだわ」「よく寝てたわね」美奈子の声で目を覚ましたが、思考回路はまったく働かない。ここはどこだろう、何時だろう、修平は少し狼狽していた。
「今日はこれからどうするの。もう5時半だけど」 「エアポート・メサって所で、夕陽見ようと思ってるんだけど」
「あら、いいわね」強い陽射しを嫌う美奈子が賛成した。
「受け売りだけど、エアポート・メサも強いヴォルテックスがあるらしいよ」
「日没は7時ちょっと過ぎだから、もう出なきゃ行けませんね」
「加奈ちゃん、そんなに慌てることないよ。ここのすぐ近くだから、10分位じゃないかな」
「すごい人ですね。お祭りみたい」
「向こうから登るんだぜ」修平たちが登ってきたルートと反対側を指差している。 「日本人か」男の顔は陰になり最初は分かりづらかったが、よく見ると60歳代と思われる老人だった。
「今日のご飯はどうするの」タイ・レストランでの昼食が遅かったせいか、修平は空腹を感じていないし、声を掛けた美奈子も、そして加奈も、同じ思いで居るに違いない。 「賛成です」ルームミラーに、加奈の笑顔が映った。
「加奈ちゃんは、どこで寝るの」修平が下りかけの階段から声を掛けた。
「私、リビングにします」
「ベッドにしといてあげるから、お風呂入っておいで」
「わぁすごい、これじゃかえって眠れないかも。きっと朝起きたら、隅っこの方で寝てるんですよね。私貧乏性だから」 「大丈夫だよ、ここでワイン飲んでるから」 「いよいよ明日が最後ね」
「明後日だよ」
「あら明後日はラスベガスに、行くだけじゃない。実質的には明日が最後よ」
「まあね」
「明日はちゃんとしたレストランで、お別れ会しましょう。あなた今日も元気なかったわよ」
「そうかな」
「そうかなじゃないわ、加奈ちゃんだって気にするでしょ」
「分かったよ。でも自分なりに、整理は出来てるんだけどね」
「出来てないから元気がないんでしょ、こういうことって男の方が引き摺るのよね」
「済みません、お先にいただきました。ジャグージ、気持ちいいですよ。お湯入れてますから」
「じゃ、おやすみ」
「おはよう」修平が声を掛けると
「あら今日は早いのね」美奈子が嫌みを言ってくる、やり切れない気持ちに追い撃ちをかけるような言葉だった。
「今日のスケジュールは」
「何時に出るの」キッチンの横の棚に置いてある時計を見ると、8時半を指していた。
「9時半くらいかな」何となく計算して言うと
「あら私たちもう用意できてるから、もっと早くにしましょうよ。お昼も早くしたいし、朝はこのコーヒーだけだもん」 「おじさん、贅沢じゃなくって普通のところでいいですよ」 「明日が最後の日ですよ」 「えっ、何ですか」 「スヌーピーだよ、ほら、ひっくり返って、足上げてるだろ」
「加奈ちゃん、何でも好きなもの頼んで。今日は奢りよ」メニューに見入る加奈に、美奈子が声を掛けた。
「えっ、そんな申し訳ないですよ」
「気にしないで。この旅でいろいろ勉強させてもらったのは、私たちの方なんだから」 「そうそう、2、3日の短い旅行でも、二人っきりだとつまんないことで言い争いになったりするんだよ」
「お二人がですか」
「どこの夫婦だっておんなじだと思うよ。緩衝材じゃ言葉が悪いけど、加奈ちゃんのお陰かなって思うよ。ほんとに、ありがとう」 「お礼の言い合いになっちゃたね。さっ、もういいからご飯にしよう。さっきからウエイターが呆れているよ」 「この車とも、明日でお別れですね」
「寂しいこと言わないでよ、加奈ちゃん」
「何か2週間以上も一緒に走ってたかと思うと、愛おしいですよね」 「明日は結構走るんですよね」
「うん、500キロはあるね」
「頑張ってくださいね、おじさん」
「加奈ちゃんも寝ないでね」
「分かりました」加奈は明るく笑って返した。 「加奈ちゃん、洗濯しない。明日ラスベガスだから、最後の洗濯よ」 「そうよ、日本に帰って洗濯物見ると嫌になっちゃうから」 「セドナに来て、最初はあれって思ったけど、後半は俄然良くなったね」
「加奈ちゃんのこともあって、感傷的になったからじゃないの」
「いや、ヴォルテックスかもよ」修平の言葉に、美奈子と加奈が顔を見合って笑っている。夕陽を受けた2人の顔が、とても美しかった。セドナ商工会議所観光局 http://www.visitsedona.com/